住文化シンポジウム2005

 私たちは今まで、豊かな生活の実現のために、耐久性、高気密・高断熱性、IT化、自動化、快適制御等「便利で快適な」住まいづくりを目指してきました。しかし、少子高齢社会、価値多様化、環境共生の時代の中では、この「住まいの質」に対する考え方にある種の不安や疑問を持つようになってきたのではないでしょうか。
 例えば、温暖地での高気密、高断熱の住まいは一見快適な室内環境を提供しているかのように見えます。しかし、内に閉ざした住まいは一方で自然変化や人の営みとの触れ合いをも閉ざし、本当の意味での「気持ちよさ、心地よさ」を失っているともいえます。性能や機能は向上しましたが、果たして私たちは住む人の「こころ」に響くような「住まい」づくりをしてきたのでしょうか。家は住む人を幸せにするものでなければならないはずです。

そこで、今回の住文化シンポジュウムでは、「住まいとこころ」〜家はひとを幸せにできるか〜 をテーマに、住まいの質を「こころ」という視点で見直してみようとするものです。まず、定量化、定義が難しいこの問題に対し、住文化アンケートにおいて近年の「住宅の変化のベクトル」と「住まう人のこころのベクトル」とのギャップを探り、高性能・機能を求めたテクノロジーや開発志向が見失いがちなものを見つけようと考えています。 さらに、アンケートからの問題意識をもとに、パネルディスカッションにおいては、「ハイテクと自然」や「現代工業化と伝統」など対極の組み合わせの議論を試みたいと思います。その意図は、単なる従来の住まいづくりの否定ではなく、両者融合の道を探ることで、住む人の「こころ」に響く住まいづくりへのヒントを得ようとするものです。http://www.jyubunkyo.jp/action/seminar/symposium2005/index.html